雑木林に囲まれた、ぽっかりとした空間を照らす橙色の炎。時折火の粉が舞い上がっては、闇空に吸い込まれていきます。串に刺した数匹のイワナはだんだん飴色に変わり、炎の前では二人の男がビールを飲みながら、焼き上がるのを気長に待っていました。

　MTBを押しながら、15kg近い装備を背負って峠まで数時間。峠にMTBをデポして今度は下り道をしばらく歩き、ようやく入渓です。そこから更に渓を遡行して途中にテン場を求める予定で、お昼頃にうってつけな場所を見つけました。設営を済ませ、集めた焚き木を雨に備えてシートで覆い、これで心おきなく釣りができます。

　おかずの調達はyukimuさんにお任せし、私はといえば、掛けてはバラして、純粋に？釣りだけを楽しみます^^;;　独りだったら、夕飯は「素」菜メシだけになるところでした(汗)　釣り遡った沢から登山道で尾根を一つ越え、テン場まで戻ったら19時になってました。そして宴のはじまり！　「岩魚炊込み菜メシ」や塩焼きや骨酒は、何にも代え難い山のご馳走ですが、一番の酒のつまみは焚火でしょう。「幸せだー！」を連発しながら、そのうちに腹が朽ち夜も更け、シュラフに潜り込んだらテントに雨が落ちて来ました。

　翌朝、5時半に目覚めると雨は上がっていました。湿った燃え残りで再び火が熾きると、既にビールが残っていないのが悔やまれます(笑)　林間に響く鳥のさえずりを聴きながら、薄陽の当たる樹々の濡れた梢に立ち登る昇る煙を見上げていると、もう今日の釣りはどうでも良くなる程に満足している自分が居ました。yukimuさんも同じ思いのようです。ゆっくりと朝食を摂った後、荷物をまとめ、予定より早くテン場を離れました。下山は往路の苦労が報われて、MTBで快適に下ります。風を切るスピードが、ずっと渓にとどまって居たいという名残惜しさを断ち切ってくれたのでした。



　出発前に心配していた雨も、丁度寝ている間に降っただけで、それも大した雨では無かったおかげで、楽しく過ごせました。山の神様、渓の神様、ありがとうございましたm(__)m　行動途中、予定変更もいくつかありましたが、下山してyukimuさんと握手を交わした時は、充足感で一杯でした。今回が初の渓キャンプだったyukimuさんに、「発病しました！　いきなり重症です(笑)　是非またやりたいですね～！」と言って頂けて、ご案内（と言う程の事はしてませんが(汗)）できてホントに良かったと思いました。

　こんな幸せなビョーキに罹りたいなら、テントとシュラフとザックを急いで買いましょう！^^